今回のタイトル「自立性と自律性」は、両方とも英語学習と切っても切れない関係性にあります。これらを抜きにして英語学習は成り立たないと言えるのではないでしょうか。まずは、同音異義語で混同しやすい二つの差異に触れ、英語学習とどのように関わっているか説明したいと思います。
意味が掴みにくい時、英語の対訳や対義語を見る方が分かりやすい場合があります。この二つの英訳は、independence(自立)とautonomy(自律)です。対義語は、「依存」と「他律(他人から強制されたり命令されたりして行動すること)」となります。これらを英語学習の文脈に当てはめると、さしずめ前者は「独学」、後者は「積極的学習」と言えるのではないでしょうか。
手前味噌で恐縮ですが、私は、英検や国連英検などの検定試験を独学で合格してきました。しかし、現在は英語学習リソースが周りに溢れている時代です。書店に行けば様々な英語学参書が買え、ネット上であらゆる視聴覚教材が手軽に手に入ります。軽々しく「独学」と言ってよいものか疑問を感じます。齋藤兆史著書「英語達人列伝」には、辞書すらまともなものがなかった江戸時代から明治時代に文字通り「独学」で英語を習得した偉人、新渡辺稲造や野口英世が紹介されています。このような環境下での英語学習を本来の意味での「独学」と言うのでしょうね。
さて、話が逸れましたが、「自立性」とは、教師の力を借りず自分の力で周りの学習リソースを上手に利用しながら英語を学習する姿勢や性質を指します。他方、「自律性」とは、本校を含め学校などの教育機関で英語の授業を受けつつも、教師に手取り足取り教えてもらうのではなく、自身を律して能動的に英語学習に取り組む姿勢や性質を指します。
それでは、これらが英語学習とどのように関係しているのでしょうか。もうお分かりだと思いますが、「自律性」の延長線上に「自立性」があり、これらは、段階的に身につけるものです。英語学習は、ご存知の通り、スポーツ習得と類似性が強く、鍛錬の要素が強いのが特徴です。勉強を強制的にやらされても、ある程度は習熟度が上がるかもしれませんが、例えば、英検2級合格に必須とされる5千語の英単語を覚えることができるでしょうか。毎日学校に行き、英語の授業を受ければ大丈夫でしょうか。答えは、残念ながら否です。
学生であれば、50分の授業のために、予習復習が課せられます。中学生の場合、毎回の授業で厳密にそこまで課されることはないかもしれませんが、高校生ともなると、授業が難しくなり、予習復習が必須となってきます。英語学習がスポーツと類似性が高いと先述しましたが、運動にも同じことが言えます。小学生レベルでは、遊びだったスポーツのレベルが段々と上がり、例えば、ある高等テクニックを習得するために、弛まぬ努力が必要なのは想像に難くないはずです。英語学習にも同じことが言えます。共通するのは、「自律性」です。
言われたことだけをやるのではなく、自ら考える。「なぜ単語が覚えられないのだろうか」「どうしたらもっと流暢に話せるのだろうか」「聞き取りが苦手なのはどうしてだろうか」などと内省をし、自ら答えを見つけて実践する必要があります。これらを全て一人でできるようになれば「自立性」が既に備わっているので、本校に来る必要はありません。
大学を中退して自ら起業したスティーブン・ジョブス、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグらの名前が「自立性」の顔として思い浮かびます。情報化社会の現代、英語学習リソースは、周りにいくらでもあり、この「自立性」を軸に英語習熟度を上げていくことは可能でしょう。しかし、一方で無駄が多いのも「独学」の特徴です。私自身、振り返って一番感じることは、当時の英語力を把握できなかったのが原因で、かなり回り道をしたと思うことです。また、我々日本人が学校教育を通してじっくりと母語、日本語を涵養させるように、英語も読む・聞く・書く・話すの四技能を満遍なく伸ばさないと歪な英語力となります。
そこで、極力無駄をなくし、効果的・効率的に英語を学ぶ教育機関が存在しているのです。では、そこでどうやってこの「自律性」を身につけるのでしょうか。それには、学習者の自覚を促す必要があります。本校では、単語を単に覚えるだけでなく、運用能力を高めるところまで持っていくような授業を行い(ブログ「英検対策コース」を参照)、受講生自ら毎月目標を設定し内省する「月間目標シート」もあります。
週に1回の授業のために、自律的に予習復習を行う。換言すれば、予習復習をしなければついていけない四技能を絡めた授業を行うのが教師の役目です。そのためには、日々変化する受講生の習熟度を正確に測り、適切な授業を行う必要があります。偏った英語力にならないように、適宜助言をしながら作文で語彙拡充や文法理解を促進したり読み物を音読後、英語で要約させたりディスカッションを行なったりと様々な言語活動を通して総合的な英語力を高めていきます。
このように、言語教育において、教師と学習者というのは補完関係にあると思っています。前者は、後者の英語力を把握した上で授業を行い、後者は、しっかりと準備を行い前者が用意する授業に臨む。そのような学習環境で「自律性」が少しずつ身につくと考えています。その先に「自立性」というもがあり、本校では、ただ単に英語力を伸長させるだけでなく、「自律性」も養いながら英語力向上の支援を行なっています。
次回は、「本校の強みと充実した特典」について書きたいと思います。
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