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親子で学ぶ「幼児英会話コース」

更新日:2022年7月5日






タイトルにもあるように、本幼児英会話コースでは、少なくとも最初の数ヶ月は親子でのご参加を推奨しています。今回は、幼児英語教育の現状を概観しながら他校ではできない本校の試みを紹介したいと思います。


まず、ご存知の通り、周りを見渡せば幼児向け英会話教室は、どこでもフォニックスを売りにしています。本校も例外ではありません。実際、英語圏の子供達は、読み書き学習の一環としてフォニックスを学んでいます。日本語と英語の音声的な違いを考慮すると、この学習法を取り入れるのはとても理に適っています。


では、フォニックスという学習法を少し説明したいと思います。これは、一言で言うと発音と文字の関係性を学ぶ音声学習法です。例えば、26文字のアルファベットの最初に来る Aは、Ace(イス)と発音したり Apple(ップル)と発音したりと単語によって発音が異なります。このような規則性を学ぶことで、英単語のおよそ75%を正しく発音できると言われています。そして、発音を一通り覚えた後、必然的に読み書きへと移行していくわけですが、幼児英語教育の問題は、誰がフォニックスを教え、幼児はどのくらい、またはいつまでこの学習法を続けるかなのです。


誰については、間違いなく英語ネイティブが理想です。一方で、早期英語教育に関して、これまで様々な議論が繰り広げられてきました。その中で一番懸念されているのが専門家不足です。日本語に堪能で音声学や教授法の知識がある英語ネイティブが、周りにどのくらい存在するでしょうか。日本語を勉強した経験がなければ「これがネイティブの発音」だと自分の発音を聞かせることはできても、日本人がなぜ自分と同じ音を出せないのか、どうすれば母語話者の発音に近づくかはわかりません。その結果、発音を聞かせて真似させるだけに終わってしまいます。その点では音声学や教授法に精通している日本人教師の方が、日本語との違いを説明しながら指導することで、幼児に遥かに効率よく発音を定着させることができます。


次にどのくらい、またはいつまでですが、発音習得までが理想です。しかし、習得には個人差があり、数ヶ月から場合によっては3年程じっくりと時間をかける教育機関もあります。本校では、ある程度習得が進んだらアルファベット26文字が書けるように指導しています。理由は、4技能を絡めることによって言語習得全般が促進するからです。聞くと話す、読むと書くが、それぞれ密接に関連しており、書けるようになることで読む力、そして話す力も強化されるからです。


具体的には、フォニックスを教えながら単語も少しずつ導入していきます。同時に、How are you? や What is your name? といった簡単な挨拶言葉なども発話できるように練習します。この数ヶ月の期間、ゲームや歌を取り入れて楽しく学んでいきます。その後、アルファベット26文字を書く練習に進みます。そして、単語を読んだり書いたりできるようになると簡単な読み物の宿題を課せるようになり、自宅で英語を読むという自律学習へと繋がります。


外国語学習には、この自律性が欠かせません。ご存知の通り、英語学習は、中学や高校に進学するにつれ教室での英語活動の時間より自宅での単語暗記を始め予習復習の時間の方が圧倒的に長くなります。習熟度が上がるに従って一人での学習時間が、著しく増えることになります。このようなことから、ある意味、英語習熟度の向上よりも幼児期に培われる自律性の方が大事だとも言えます。幼児期に養われる自律性は、自立性へと繋がり外国語の英語だけに留まらず、我々の母語、日本語をも伸ばす原動力になり得るからです。


と、ここまで良いこと尽くめのように書いてきましたが、日本語すら発達途上の幼児が週一の英会話コースで自律性も養い、英語もそんなに上手になるのかと思われるでしょう。そこで、必要となるのが親御さんの協力体制です。文字学習直前までの授業は、恐らく他校でも同じでしょう。しかし、本校が提案する親子で参加する幼児英会話コースは、親御さんにお子さんの授業で実際に何が行われているか具に知ってもらう必要があります。


理由は、我々の母語、日本語と同じく週一の英会話コースも教室外での時間に受講生の幼児の皆さんが、未知の外国語とどのように向き合うかが大切になってくるからです。フォニックスを学んでいる間、視聴覚教材を使用しますが、小中学生のように、宿題として漢字を10回ずつ書かせたり単元クイズのために復習させたりすることはできません。そこで、毎日数十分一緒に視聴覚教材を使って学ばせてほしいのです。そうすることによって、大袈裟な言い方をすれば週一のコースが週数回分の密度の濃い準イマージョンコースとなり、加速度的に英語の習熟度が向上するからです。逆の言い方をすれば、週一わずか1時間弱だけ英語に触れても1週間後には殆ど忘れてしまいます。単純に楽しいだけの時間となります。


しかし、英語が話せるようになっているという実感が伴うと、お子さんの中に「やればできる」という自分を信じる自己効力感が生じます。その先に恐らく最初の壁として文字習得が待ち受けています。ここで発達心理学の知見が有効になってきます。母語が対象ではありますが、文字が読めたり書けたりできることが良いことだと感じている幼児にその理由を尋ねると「読める(書ける)と嬉しいから」「ママが喜ぶから」「ママが褒めてくれるから」と答えるそうです。それが成長と共に、子供達の大多数が「字がたくさん書いてある本が読めるから」「自分が読んでも意味がわかるようになったから」「ママと交換日記ができるようになったから」と読み書きの意義や道具的価値に気づき始めるそうです。このような移行期に自律性が養われます。


親子で一緒に英語を学ぶことで、個人差はありますが実質半年もあれば文字習得まで到達します。ここまで来れば自宅での言語活動も広がりますし、お子さんが独り立ちして授業を受けられるようになります。その際、教室から戻ってくる度に、お子さんに「今日の授業は楽しかった?」ではなく「今日の授業では何を勉強したの?」と訊いてあげてください。はい/いいえの応答ではなく、授業で何が行われたかを日本語で説明することで、お子さん自身の学習の振り返りにもなり、何よりも日本語の表現力も鍛えられ、英語学習を客観的に見つめる貴重な機会にもなります。このようにして言語習熟度を向上させながら自律性が養われていくのではないでしょうか。なお、本校では、なおざりの授業にならないように、毎月末にマンスリーリポートを発行し、保護者の皆様にお子さんの英語学習の進捗状況をメールで報告しています。


このように、本校では、ことばの素地を作るという意味で、親御さんのご協力が必要だということ。毎日英語に触れることで効率的且つ効果的に英語習熟度が伸長すること。そして、お子さんの送迎に自宅と本校を毎回2度も往復する必要がなくなる利便性も考えてのこと。以上の三つの理由から親子参加型英会話コースを行なっています。他校では、授業見学が許されてもせいぜい1、2回。私の知る限り、毎回というのはどこも行っていません。これは、あくまでお子さんが授業をちゃんと受けられるか、先生がしっかり教えているかを含むコースとの相性を判断することが主な目的だからです。


子供が言葉を話し始める。これほど愛らしい光景はありません。無邪気な笑顔と日々成長する姿を目の当たりにできるのは、ご両親だけでなく教師にとっても嬉しいものです。何もない真っ新なところから始まりスポンジのように吸収し、限られた表現ではありますが瞬く間に英語を自在に操る姿に感動すら覚えます。そのために、お子さんの外国語能力を最大限に引き出せるような幼児英会話コースを開講しています。



次回は、「人生100年時代においての英語学習」について書きたいと思います。

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